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追憶のかけら

学び舎の消滅…。

決定していた事とはいえ、いざその時が訪れると何とも言えない寂しさがジワジワと広がりぽっかりとした穴が心に空いてしまうのには自分自身けっこう驚いた。
先日、18年の長い歴史に幕を降ろしたトリニティースクール。
メカいじりの基礎を学び、自分の愛車を自分の手で組み上げるという長年の夢を叶えてくれただけでなく、かけがえのない素晴らしい仲間達とも出会えた佐久間町。

富成校長先生をはじめ、根田講師、奈良講師(現VMS代表)、トラヴィスサイクルズの栗崎代表、そしてステキな仲間達に感謝の気持ちを込めてズラズラと書き綴っていこうと思ったのは平成26年1月22日トリニティースクール最後の授業を終えた際におもむろにはじめた校長先生の最後の講義を聞き終えた時だったと思う。
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独特の語り口調の講義を聞き終えた際、何とも言えない興奮というべきか高揚というべきかそんな気分になったのは私だけではないと思うし、一体感というのか連帯感というのかそういった空気が教室全体を包みこんだのも確かにあった。
(盲目的に教祖を崇拝する宗教の様な雰囲気ではないですよ念のため。)
事実、講義が終わったあともなんとなくみんなの会話もテンションが高かったのは気のせいではないと思う。



では何故、私がトリニティースクールの門を叩くことになったのか?



その話を書く前に…。

私の場合、まずはここから書かなくてはなりませんね。

今日は奇しくも1月27日。

そうアレから丸6年、月日が流れるのは早いもので本日の祥月命日でもう七回忌を迎える。
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もうしんみりとした話を書いても当人も全くもって喜ばないだろうし。
『そんな時間があればトライアンフ乗りなさいよ!』ってきっと叱られてしまいそうなので、トライアンフひと筋、トライアンフとともに生きてこられたアサバさんとの出会いから…それは前にも書いたので、59年TR6が欲しいと言った私に何故アリエルスクエアフォーを勧めたのかその真相を今もって知りたい気持ちをグッとこらえて、初めてのオイル交換。
初のオイル交換は納車後1000キロ後に一緒にやろうとの約束通り西馬込の工場に持ち込み、手取り足取り教えてもらったのだが…オイルタンクのドレンを外しオイルを抜き、あらかたオイルが抜けたら車体を傾けてオイルタンクの底に残ったオイルを出してって言われ、別のトラの整備を整備するアサバさんの傍らで59年を傾ける私。オイルのしずくがポタポタからポタッ…ポタッ…に変わったら声をかけてっと言われてたのでポタッ…ポタッ…っとかわる瞬間を見の逃がさないと必死に凝視するのですがなんだかいつまで経ってもポタポタのまま…。かれこれ10分ほどだろうかずっと変わらぬオイルの垂れ量なのでそのままずっと凝視を続けてたのだが、『いつまでやってんの!』と気の短いアサバさんが怒声を浴びせる。しどろもどろに『いや…まだポタポタ垂れるんですよ。』というと『そんなはず無いよ!どれ貸して!』っとアサバさんが傾けるも依然オイルはポタポタと垂れる。『アレーおかしいな?』とアサバさんも異変を察知し、おもむろにオイルタンクの中を覗き込むと…『いやーいやーゴメンゴメン。僕はオイルを交換するとき中のスラッジをなるべく取り除きたいからボロ布でタンクの中をキレイに拭くんだけど、そのボロ布を取るのを忘れてたよ!』納車の際、全てのオイルを交換した際、すっかり布を取り除くのを忘れオイルを入れてしまったようで…何とも言えない照れた表情で『悪かったね。』っというアサバさんの顔は今でもしっかり脳裏に焼き付いている。そして無事に初めてのオイル交換も済ませた3日後にアサバさんから電話があり『悪いんだけどちょっと59年を2、3日預からしてくれないかな?』。何が何だかわからないが言われるままに預け、後日取りに行くと驚愕の事実が!あのオイルタンクに取り残されたボロ布が、まずは悪さするって事はないだろうけどでももしかしたらとそれを考えると気になって気になって仕方ないらしく、エンジンを分解しパーツを洗浄し組み直してくれたのです!
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(こちらは富成校長先生から頂戴したアサバさんの写真)

アサバさんと共に駆け抜けた碓氷峠。あれは念願のTR6を手に入れたのが1月末でそれから約3ヶ月後の浅間ミーティングにアサバさんと出かけたのが初めて一緒に行ったツーリング。水を得た魚のようにスイスイと車の間を縫っていくアサバさんの愛車は縁あって今は私が所有しているもう1台のトラ60年TR6。2本出しの中アップマフラーが奏でる排気音を聞きながら、いつか追い抜いてやろうと心に秘めた野望も今はもう叶わぬ思い。当時はへんてこなカラーリングだなって思っていたアサバオリジナルカラーの60年も今では大のお気に入り、すっかりやれてしまったがきっと私はこのままの乗り続けるのだろう。59年もアサバオリジナルカラー…人様のトラには『これオリジナルのカラーリングと違うね。』なんてズケズケと言うくせに、自分のもけっこう色遊びしているのはこれいかに。
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修理代の代わりにアサバサイクルでバイト?なども。あれはフラッとアサバさんの所に澤田氏と遊びにいった時の事。せっかく天気もいいしちょっと箱根までひとっ走りしようとアサバさん。二国で横浜から横浜新道。戸塚料金所で休憩なのだがどうにもこうにも私のトラにトラブルが発生。何とか走れるのだが止むなく箱根行きは断念し引き返す事に。当時の戸塚料金所は今みたいに中央分離帯がしっかりと出来ておらず間が空いている所が何カ所かあり…お金を払うのはもったいないとその隙間から反対車線に出て引き返す事に…。そしてその時の修理代金は、じゃあこのトラを隅から隅までキレイにしてってことで埃まみれのメリデン最後のサンダーバード。なかなかオッケーが出ずこれならお金を払った方が楽だったのではと思いながらもやり遂げたのは今は亡き中沖さんの車両だよって聞かされたから。
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元旦は晴れていたら箱根は八坂湯または箱根の湯まで初走りと温泉が恒例。元旦の朝からアサバさんの奥様が御節を振る舞って下さり恐縮の至りの思い出も。元旦に箱根に行き、駅伝が終わった4日の朝、寝正月を貪っていたらアサバさんから『箱根に行くよ!』と電話が。飛び起きて西馬込に向かったな…。とにかくトライアンフと温泉が大好きなのである。毎年恒例の西伊豆の忘年会ツーリングでも宿に着いたら風呂。宴会の前に風呂。飯食ったら風呂。寝る前に風呂。夜中の3時に『風呂行くよ。』と起こされるのはたまったものではないと当時は思ったのだが露天風呂に一緒に浸かりながら若い日のお話やトライアンフのお話や今思えばそれはそれは貴重な時間を共にしたと感謝に堪えない。そして朝起きて風呂。朝食後に風呂。出発直前に風呂。

ズラズラと思い出を書いても尽きる事なく頭の中に浮かんでくる。どうやらそれではきりがなくなりそうなのでそれはそれでまたの機会に。心の底からトライアンフを愛したアサバさんと7年ほどの歳月であったが濃密に過ごす事ができ本当に幸せだった。それもずっと続くもんだとばかり思っていたのだが…。一目惚れしたトライアンフに乗る事ができトライアンフの楽しさを教えて下さりアサバさんに出会ってなければここまでオートバイにのめり込む事もなかっただろうし、そしてユーヤ君やケンタロー君をはじめとするステキな仲間との出会いもなかっただろうし、その後出会う事となるトリニティースクールの富成校長先生をはじめとするこれまたステキな出会いも…。
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祥月命日の今日はどうしても伺う事が出来ず前日の26日にヒラツカッチとともにご挨拶にお邪魔しました。ヒラツカッチとはアサバさんからトリニティーへと同じ道を歩む同志。残念ながらトラはO/Hの最中、HDは車検切れ、BSAはサイレンサー取れちゃった為、今日は車で。早く直さないと5月末の福島はあっという間ですよ!
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あの事故の後、これからもトラに乗り続ける事がアサバさんへの恩返しになるとの思いで悲しみを紛らわせていた平成20年の夏。当時は箱根新道が有料だったため三枚橋を左折し旧道で箱根のテッペンを目指すのがいつものルート。お玉ヶ池の手前でアクセルをガバッて開けたらキュって59年のエンジンが停止した…。やってしまったのか?…と途方に暮れ知りたくない現実から目を逸らししばし煙草を燻らす。小1時間ほどしておそるおそるクランキングすると…なんだか普通にピストンが上下する。更におそるおそるエンジンを掛けるとあっけなく始動。異音も何もない。ム…さっきのは気のせいか?その年の晩秋。場所は同じく箱根だが、今度は新道で同じように急停車。これまた夏と同じくしばらく休ませると何事もなくエンジンは掛かる。しかしこの出来事が私がトリニティースクールの門を叩く直接のきっかけとなったのである。




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著者 貫井 徳郎
文春文庫

事故で愛妻を失い、失意の只中にあるうだつの上がらない大学講師の松嶋は、物故作家の未発表手記を入手する。絶望を乗り越え、名を上げるために、物故作家の自殺の真相を究明しようと調査を開始するが、彼の行く手には得体の知れない悪意が横たわっていた。二転三転する物語の結末は?
Commented by 1965ボニー at 2014-01-28 21:50 x
学び舎の消滅は確かに寂しいことですが、学校を通して沢山の素敵な仲間の方と出会えたこと羨ましく思います。学校は無くなっても仲間との思い出作りはまだ始まったばかり。これからもトラに乗ることが浅場さんへの供養となり仲間との絆を深めてくれるでしょう。今後ともよろしくお願いいたします。
Commented by ベロ子 at 2014-01-28 22:29 x
ご無沙汰しております。
全文読んで、感動しました。人との繋がりって、いいですね。
また、お会いできる機会楽しみにしております。
Commented by trophy1959 at 2014-01-29 18:12
1965ボニーさんへ。
いつもいつもありがとうございます。せっかく繋がった絆を断ち切る事の無き様、これからもずっと大切にしていかなくてはなりませんね。今年もにぎやかにやりましょう!
Commented by trophy1959 at 2014-01-29 18:15
ベロ子さんへ。
お久しぶりです!いまはラレ子さんとお呼びした方がよいでしょうか?稚拙な駄文にお付き合い下さいましてありがとうございます。こちらこそラーレーを走らせている勇姿を楽しみにしています!!
by trophy1959 | 2014-01-27 02:08 | book | Trackback | Comments(4)

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