生涯疾走 中編
そして。

平成20年を迎え。

1月27日 日曜日 朝。

浅場さんからでんわが。

僕『はい、おはようございます。』
浅場さん『どうも、朝から悪いね。』
僕『いえいえ、どうしました?』
浅場さん『いやさぁ、君レース出たいって言ってたよね?』
僕『はい。』
浅場さん『あれからさぁいろいろ考えたんだけど、君にぴったりのマシンがうちにあるんだよね。』
僕『えっ!そうなんですか!』
浅場さん『まぁとにかくそんな訳だから、近いうちに来なさいよ。』
僕『分かりました。じゃぁ、水曜日伺ってもいいですか?』
浅場さん『あ〜、その日は僕ちょっと出かけちゃうんだよ。』
僕『そうですか…。そしたら今から行ってもいいですかね?』
浅場さん『いいよ。』

その日は仕事だったのだが。

午後からの出勤だったので。

急いで西馬込へ。

すると。

いつものようにトラを整備中。

挨拶をすませると。

『じゃあ、オートバイを見に行こう。』

いつものように小走りで。

地下のガレージへ。

薦められたのはこの車両。
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50年代後半のT110のフレームをベースにした、カフェレーサー。
タンクには『T110 ASABA SPECIAL』の文字が。

保安部品外せばそのままサーキットへ。
ワイヤリングなど細かい作業をしながらレースのノウハウを伝授。
エンジンは基本的にほぼノーマル。
何回かレースを経験してみて、それから手を入れていこう。

オートバイを見ながらそんな話を。

半ば夢心地。
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サーキットを疾走する自分の姿を妄想するも。

『まぁ、君みたいなタイプはしょっぱな多分スコーンって転ぶから。でもそうやって少しずつレースってもんが解っていくんだよ。やっぱりさ、公道とサーキットってのは違うから。怪我だけはしないように、これから一緒に楽しもう!』

さらに。

『来週くらいからいろいろはじめていけば、4月の筑波からエントリーできるから。とにかく時間がある限り作業しに来なさいよ。』

どんどんと進んでいく話にとまどいつつ。

緊張と不安と希望が入り混じる。

工場にもどり。

トラ談議。

ふと昨年筑波の最終戦を走った浅場さんのレーサーをみると…。
a0255081_10364923.jpg

僕『あれ?キャブ変えるんですか?』
浅場さん『あぁ、ちょっと初めてCRをいれてみようと思ってね。』
僕『どうしたんですか急に。』
浅場さん『やっぱりね、ほかの人のレーサーに比べるとやっぱり伸びが足りないんだよ。いままではずっとAMALでやってきたんだけど。たとえ草レースといえどもレースってのは勝負事だからね。』

そして。

『僕ももう歳だからさぁ、あと何回レースに出れるかわからないし。でもさ、やっぱりもう1度だけ表彰台の真ん中に立ちたいんだよ。』

少年のような笑顔で語る浅場さん。

『まぁ、また来週にでも来なさいよ。』

背中をポンっとたたかれ。

笑顔を後に。

家路につく。


つづく。



生涯疾走 酒井 文人 遺稿集
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by trophy1959 | 2012-01-29 02:09 | book

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